韓国・木浦共生園の水仙花合唱団を引率して約1か月間、
大阪、熱海、東京、福岡の柳川などで公演した1971年の夏を忘れる事ができない。
小、中、高校生で構成された合唱団の少女たち。
過去も未来も考えず、ただ純粋な交流をする韓日両国の子どもたちを見て、
日韓両国の将来や人間の未来をあまり心配しなくても良い、というある確信を得た。
経済発展により高度に汚れた日本人がいつも心配するように、
人間の情などが完全に枯れてしまったのか?
違うという実証を私はあまりにも多く見てきた。
侵略されたという過去のため、韓国の若者たちは永遠に日本を憎むべきなのか。
またそうなるしかないのか。やはりそうではないという事を私は見た。
私は合唱団の引率者だった。私の目に映った合唱団と日本を書こうと思った。
今も目を閉じれば「友だちは良いもんだ」、また「愛する」を合唱する両国の純度の高い声が聞こえるようだ。
それは美しい声だ。
今年3月。来日した尹大統領は私に「共生園の話はミュージカルにしたら良いですね」と言われた。
共生園の話とは、韓国人伝道師・尹致浩と音楽教師・田内千鶴子の話である。
そして7月、連絡が来た。ミュージカルで韓国No.1の監督がその話はよく知っている、
原作者の私を待っていると。監督はシナリオや音楽も日韓両国で公募したい。
制作資金は国に頼らず作品の力で制作したいと語った。
韓国がここまで成長したなと感動を覚えた。
「国連世界孤児の日」の実現につながって欲しいという気持ちがやまない。
もう80歳の私だが、尹大統領の一言は私を青春に戻した。
夢と希望は人間を若くする。
社会福祉法人こころの家族 尹基(Tauchi Motoi) 2023年9月1日