高齢化社会における教会の役割とは
──第2回日韓親善キリスト教コンベンション
昨年秋、田内千鶴子生誕110周年を記念して韓国木浦で開かれた第1回に続き、第2回日韓親善キリスト教コンベンションが6月30日、大阪のシェラトン都ホテルで開催された。牧師や教会のリーダーらを中心に韓国から約40名、日本から80名が参加、「日韓新時代─和解と共生」を掲げ、「高齢社会を迎えた教会の課題と使命」について、両国の参加者から貴重な提言が寄せられた。
高田義三牧師(ニュージーランド大阪教会)の開会挨拶、村上好伸牧師(カリスチャペル)、杣浩二氏(神戸平和研究所)の挨拶、李成植長老の祝辞に続き、主題発表が行われた。
日本側の主題発表を行なった清水昭三牧師(高石聖書教会)は自身の体験から語り起こし、「軍備拡張や核保有ではなく『キリストにある愛の草の根運動』が、韓国と日本の間に、世界中に広がるように祈る」と述べた。
韓国でも日本を超えるスピードで高齢化が進んでいる。韓国側から主題発表を行なった権龍植(クォン・ヨンシク)牧師(木浦キリスト教教会連合会前会長)は、今なお老人ホームについて否定的な認識を持たれることがあり、高齢者の自殺も多い韓国社会の現状を報告、高齢化した信者のため、宣教的な次元でも高齢者福祉施設が必要とした。
こころの家族の尹基理事長は「日本に来て以来、日本の教会7000箇所を教会兼福祉施設にしたらどうかと考えてきた。全国の教会が福祉施設を併設するコミュニティチャーチ、ウェルフェアセンターに、変化していくべきではないか。日韓両国が力を合わせればできる」と語った。
食前祈祷は金澤泰裕牧師が務めた。
年齢を感じさせない力強い歌声で会場を大いに盛り上げたのは木浦連合長老賛美団(聖歌隊)。また、特別賛美としてソプラノ歌手・車賢淑(チャ・ヒョンスク)さんが「ユー・レイズ・ミー・アップ」などを歌い上げた。この日、司会としても活躍したピアニストの小堀英郎さんが伴奏を務めた。
なごやかな空気で満たされた中、中島孝夫さんが「次は木浦で」とにこやかに閉会の挨拶を述べ、高原幸男牧師の祝祷でコンベンションは幕を閉じた。
* 7月2日には韓国からやってきた5人の牧師が日本の5箇所の教会に赴き、講壇交換が行われた。これらについて後日、報告会も行われ、今後も日韓交流を継続していくことが確認された。
高田義三氏
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村上好伸氏
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杣浩二氏
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李成植長老
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主題発表(清水昭三氏)
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主題発表(権龍植氏)
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尹基理事長
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食前祈祷(金澤泰裕牧師)
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ソプラノ歌手・車賢淑さん
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司会の小堀英郎さん
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閉会の辞(中島孝夫氏)
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祝祷(高原幸男牧師)
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コンベンションに参加して*韓国からの参加者の声
*感動的な時間となった
木浦連合長老賛美団 朱京一(チュ・ギョンイル)長老
私は1938年に京都で生まれました。今回、大阪で、そしてコンベンション翌日は京都を訪問することが決まり、85年ぶりに故郷を訪れることを毎日楽しみにしていました。でも、50名の賛美団(聖歌隊)の約半数が参加するコンベンションで役割を果たすことができるだろうか、心配もありました。聖霊が彼らと共にいるならば、きっと神の意志を成就し、主は喜ばれると信じて来ました。
私たちの賛美団は一曲、一曲、歌うたびに大きな拍手で迎えられました。会場の皆さんは歌が大好きで、手を大きく振って夢中になってくださいました。私の心配とは裏腹に、とても感動的な時間となったのは神の恵みでした。
翌日、私たちは京都の「故郷の家」を訪れました。こじんまりしたホテルのような、清潔な環境が印象的でした。お年寄りが車椅子で私たちを迎えてくれました。
私たちが慰安の時間を提供したいと願って聖歌を歌うと、聴衆の皆さんが目頭を熱くしているのを見ました。「故郷の春」を歌いながら、皆さんと一緒に懐かしさを感じ、悲しみから喜びへと幸せな時間を分かち合うことができました。
*互いの心に共感
コンベンション推進委員長 権龍植(クォン・ヨンシク)牧師
近年、韓国では(福島原発の処理水放出で)反日感情が強まり、私も負担を感じながら韓国を出発しました。真の和解を果たす契機になればと大阪に行ったのですが、振り返れば不安をよそに、結果的にはとても満足した旅でした。
また、教会間のやりとりを通して兄弟愛を感じ、お互いの心に深く共感しました。第2回コンベンションを通して、私たちはお互いに心からの気持ちを感じました。イエス・キリストの和解と赦しを通じて、韓国人と日本人が共生していくことを祈ります。実行委員会の皆さまの温かい歓迎と親切に感謝申し上げます。